鎧骸骨
心なしかヒヨウの歩行スピードが上がった。
「さ…、猿を襲う肉食獣って、何なのかしら…」
ミカは不安げに聞いた。
「たぶん豹だと思うよ、ね、ヒヨウ?」
ヒヨウは、スピードを維持しながら、背中越しに言った。
「豹ならいいんだが…。
もしかすると、猿喰い猿かもしれない…」
「猿喰い猿?」
ミカは驚き、問うた。
「人間ほどもある、大きな猿だ。
好んで猿を食べる。
奴は、人間も大喜びで襲うので、酷く厄介だ」
言いながらヒヨウは足を速めた。
殆ど小走りに、山の登り傾斜を進んでいく。
だが…。
ガクン、と、ヒヨウのスピードが落ちた。
いや…。
ミカも…、足が重い…。
「な…、なに…これ…」
「ミ、カ、、、よろ、い、、骸骨、、に、つか、ま、った…」
ちさが教えた。
「ええっ…、鎧骸骨!
それ、怖いの?」
「鎧骸骨自体は、戦いで死んだ、鎧を着たままの骸骨だから動けないんだ。
でも、人間が近づくと、こうやって動きを止めさせて、人間を呼び寄せる。
だから鎧骸骨の周りには、人の死骸がいっぱい集まるんだよ!」
チェコも、苦しそうに歩きながら、言った。
「どうするのよ!」
叫ぶが、しかしミカの体は動かない。
「仕方ない。
こうなったら呼ばれるまでだ。
鎧骸骨の方向に向かう!」
ヒヨウの決断に、ミカは悲鳴で答えた。




