再会
チェコは驚く。
「あっ、君は、あの時のエルフの少年!」
少年とチェコは、見つめ合った。
長く、見つめ合った。
「俺の名前…、忘れたのか?」
チェコは、大量の汗を流した。
「い、いやぁ、あれから、凄く沢山の人と出会って、色々あったもんで、うっかり…」
少年は、ハァ、と溜息をつき、
「俺は、リュ・ヒョウだ。
だいたい、お前にトレースさせてやったハズだが、使わないのか?」
「いやー、まだ、どう射程三を生かすか、思案中なんだ…」
「へぇ…、思案なんてするんだ。
持ってるカード、全部スペルボックスに入れてるのかと思った」
ミカが横で、ケケッと笑う。
「えっ、バレてた?」
チェコは焦った。
「でも戦いで使うのは、勝ち筋とか、ちゃんと考えなくっちゃ駄目だし…」
「へー、一応考えてるんだ。
じゃあ、捕食、月齢って、自分で考えたコンボなんだ?
エラいエラい」
ヒヨウは、捕食? 月齢? と考えて、
「ああ。
お前は確かウサギデッキを使うので、確かに捕食が使えるな。
確か月齢は、自分のアースぶんのダメージを与える、だったか?」
「ううん。
必ず十ダメージなんだ。
全アースダメージは火山弾以来、駄目でしょ?」
「あれ、無かったか?」
ヒヨウは首を傾げる。
「あるよ。
あるんだけど、アースが幾つか余分にかかって、(ただし相手がプレイヤーだった場合、ライフを0以下には削らない)って一文が、必ず入るようになったのよ」
ミカが教えた。
「あ、ヒヨウ。
彼女はミカさん。
凄っごく強いスペルランカーなんだ!」
ミカは、青いドレスの裾を優雅に開いてお辞儀をした。
「こんばんわ、ヒヨウ。
ミカ・レインチェックよ」
ああ、よろしくミカ、と言いながらも、ヒヨウの弓は、影に狙いを定めたままだった。




