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スペルランカー  作者: 六青ゆーせー
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行方不明

ハンザキがカッチリとアイダスを両前足で押さえ込んだ。


プルートゥはベラボウに強すぎて判らなかったが、どうも外道は人間とはカウントされないらしい。

とても強さ三・五のものではないパワーでアイダスを押さえつけた。


が、アイダスは不死身の化け物だ。

物凄い叫びを上げ、ハンザキの前足の指に噛みついた。


「チェコ!

生きていたのか!」


セイは叫ぶ。


「うん、なんとか生き残れたよ!」


チェコは笑顔を見せたが、しかし困っていた。

死なない怪物を、どう倒したら良いのだろうか…。


今もアイダスには杣人の矢がドスドス刺さり続けているが、アイダスは噛み切らんばかりにハンザキの指に歯を突き立てている。


歯の構造は人間のままだから、そうそうハンザキの皮膚を喰い破る事も無いだろうが、とにかく元気は無限に続くようだ…。


「どうやっても再生し続けるんだ!

チェコ、そのまま押さえておいてくれ!」


ヒヨウは叫び、木の太い枝を山刀で切ると、素早く杭に仕上げた。


二メートル以上ある長い杭だ。

それをアイダスにドスンと刺して、石で地面に打ち付けた。


「これを沢山作るんだ!」


言われた杣人たちも杭を作り、アイダスの胴に、手に、足に、腹に、そしてハンザキを噛み続ける顔面にも刺して深く地面に打ち込んだ。


ギャアァァ!


アイダスは叫ぶが、三十本以上の杭を刺されると、自力では動けないようになった。


「これが、あのアイダスかよ…」


その、地面に磔にされたまま、なお蠢き続ける焼け爛れたケモノを見て、セイは呻く。


「あれ、ウェンウェイさんとプーカは?」


チェコは、傷ついた杣人たちの治療をしながら聞いた。


スペル傷治療が手に入ったので、チェコでも皆の傷を癒せるようになった。


「お前を探す、って出て行ったぜ」


とセイ。


まあ、あの二人はどこにいても危険は無いはずだ。


「じゃあ、ロットとリーダーさんは?」


「はぐれたままだ…」


ヒヨウが言う。


今は、六人の杣人とチェコたちになってしまった。


「俺はパトスがいたから合流出来たけど、二人はそうもいかないだけだよ」


チェコは明るく言ってみるが、杣人たちは俯く。

何より、リーダーのホマーが抜けてしまったのが大きいようだ。


「パトス、二人を探せる?」


「…馬鹿言え、俺たちも、敵兵だらけの中を、なんとかここまで来た所だぞ…。

兵から逃げながら二人の人間を探すなんて、命が幾つあれば足りると思うんだ…!」


パトスは怒鳴った。


「え、じゃあロットたちは…」


チェコも、消え入りそうに呟いた。


「たとえ敵に捕まったとしても、すぐには殺されはしない。

まずゲリラの情報を聞き出すはずだからだ」


とヒヨウは語る。


「だから俺たちは、まずイガとキャサリーンを安全な場所に移動させてから、ホマーたちがどこにいるかを調べる必要がある」


「そんな事が、この頭数で出来るのかよ!

敵は二万なんだぞ!」


とハンダが叫んだ。

ふだんはおとなしい、寡黙で優しい男だった。


「出来る。

これがあるからだ!」


ヒヨウはカードを取り出した。


「捜索。

これを使えば、二人は必ず見つかる。

だから今は、早く移動しなければいけない。

判るな」


ヒヨウは語った。


アイダスは、未だにギャアァァ! と叫び続けている。


セイが、アイダスの口に、落とした葉の束を突っ込んだ。


「みんな、とにかくここから移動しないと、この辺は兵士がいっぱいだよ…」


チェコも言う。


そ、そうだな、とセイも言い、


「こんな敵の真っ只中で喧嘩じゃ無いだろう、ハンダ。

とにかくイガの所に戻ろうぜ」


セイが言うと、ハンダも、


「済まんかった。

そういうカードがあるのならば、俺はホマーにも恩があるし、ロットとは親戚なんだ。

俺の命なんか、いくらでも使ってくれ」


とハンダはヒヨウを見つめた。


「だけどカードが嘘だったら、ただじゃおかないぞ…」


嘘ではない、とヒヨウは言って、歩きだした。

すいません。

仕事が忙しいので月曜まで休みます。

よろしくお願いいたします。

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