戦い
「やっぱり強いなぁ、コカトリスは!」
森の中から、断末魔の悲鳴や大混乱しているらしい音が聞こえてくる。
「俺もいつか、コカトリス買おう!」
チェコは唸るが、キャサリーンが、
「これは売ってないのよ、チェコ君。
この子は私が南の暗黒大陸で見つけてトレースしたの。君のハンザキと同じなのよ」
「…何故、無事だった…!」
パトスは、驚きの声を上げる。
ふふん、とキャサリーンは鼻息も荒く、
「この鏡化のスペルで身を守ったの!
全身が鏡になる自慢のスペルなんだけど、全然売れなかったのよぅ…」
嘆くが、思い直し、
「でも、我が身は守れたからいいの。
これの凄さが判らない大衆が愚かなのよ」
確かにコカトリスには強そうだが、それ以外の利用方法は思い浮かばない。
「あ、でも俺、買うよ!
いつかコカトリスを見つけた時のために!」
「あら、さすがに目が高いわねチェコ君。
コカトリスだけじゃなくバジリスクにも効くから、大変お得なのよ」
とチェコが鏡化のガードを受け取っているうちに。
「よし、矢を射て!」
村人は、森からとびだしてきた兵士たちに矢を放った。
二、三十人の兵士が、バタバタと倒れる。
「おー、やっつけちゃったね!」
「ここからが本番よ、チェコ君!
ピンキーたちが攻めてくるわ!」
闇夜に、ピカリと赤い光が瞬き、どぅ、と村の屋根が爆発する。
「ハッハッハ、この右手様の火炎弾には手も足も出まい!」
チェコは燃え上がった家屋に、聖水を使って水をかけた。
思うより大量の水が出て、火災は鎮火する事が出来た。
が、チェコの手には、もう水を使うカードは無い。
だが勝ち誇った右手は、笑いながら再び火炎弾を撃ち込んだ。
「水の竜!」
キャサリーンが新たに召喚獣を出した。
水で出来た、透明な竜だ。
「チェコ君、この竜が消火はしてくれるから、ウサギを出して!」
チェコは三匹のウサギを召喚し、パトスとちさのアースで、
「召喚、花クラゲ!」
空中に、大きなクラゲが浮かび上がる。
今回のクラゲは、五/五の大物だった。
「くそぅ、思い知れ!」
若者の一人が、大弓を引き絞り、右手に向かって矢を放つ。
矢は、なだらかな曲線を描いて右手に届くが、パチン、と右手が片手に持った槍で矢を弾いた。
チェコは、アースが回復すると、多産の女王を召喚した。
「…チェコ、ピンキーが山側に移動している…」
「あいつ昨日、なんか爆弾みたいなのを撃って来たよね!」
ち、とタフタは舌打ちし、
「俺がピンキーをぶちのめしてやる!」
と斧を構えて走り去った。




