表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スペルランカー  作者: 六青ゆーせー
549/688

危機

「真夜中だが、村長はおそらく起きてくれるだろう」


ヒヨウは、石に座って魔石を出した。

ヒヨウの魔石は、グリーンの深い色をした瑪瑙によく似た石だった。


「ヒヨウです。

長老様、夜分失礼致します」


長老は、ヒヨウの言うように、既に起きていたような声で、


「ヒヨウか。

山はどうだね」


ヒヨウは、ピンキーの事、蛭谷の兵士の事、パーフェクトソルジャーの事を語った。


「なるほど、確かにそんな物が世に出てしまったら、もう、この世の中は破滅だろう。


判ったヒヨウ。

何人かエルフを派遣しよう。

我々で打てる手は打つ。


だがヒヨウ。

判っているだろうが、一番重要なのは、お前と仲間が安全である事だ。

もし危険なら、いつでも通信しておくれ」


ハァ、とチェコも大きく息を吐いた。

外に仲間がいる、と思うと、それだけで気が軽くなる。


「エルフの大人が何人か来てくれれば、状況は随分変わるな」


タフタの声にも、安心感が溢れた。


「あまり気を緩めるな。

大人が来るのも、今日という訳にはいかないし、俺たちのところに来るかどうかは判らない。


長老が必要と思えば、戦争の調停を優先させるかもしれないし、蛭谷に探りを入れる必要もあるだろう。


第一、エルフは、伝説の英雄ではない。

全て上手く行くなどと楽観はしないことだ。

俺たちは予定通り、まろびとの村へ向かう。

もし助けが来るなら、たぶんその辺になるはずだ。

用心して進むぞ!」


チェコたちは、再び歩き始めた。


「なんて名前だっけ、神様は。

神様、パーフェクトソルジャーをやっつけてくれないのかな?」


チェコが疑問を口にする。


「やっつけてどうする?

相手はカードに戻るだけだぞ」


あ、そうか…、とチェコ。


タフタも唸った。


「こいつは戦争の概念が、全く変わっちまうな。

戦っても戦っても、敵は減りもしないんじゃなぁ」


「こんなのが野に放たれたら、世界の終わりよ。

なんとか、この山で口止めるのよ」


キャサリーンも厳しい声を上げた。


「たぶん、エルフの大人たちが動いてくれると思う。

いや、既に動いているだろう。

俺たちは妖精を守り、自分の身を守るのが大切だ」


ヒヨウは皆を励ました。


遠くで、不思議な鳴き声が聞こえた。


「動物?」


耳聡くチェコが気づいた。


「…違う、たぶん笛の音…」


パトスが教えた。


確かに、それは大きくうねり、小さくうねり、複雑な音の波を作り上げていく。


「人?

エルフ?」


「馬鹿な、そんなに早い訳がないぞ!」


逆にヒヨウは戸惑った。


と。


闇の中に、巨大な蛇が、じっ、とチェコたちを見ているのが判った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ