表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スペルランカー  作者: 六青ゆーせー
527/688

チャップマンの墓

しばらく山道を歩いたが、うわっ、とタッカーが下草に躓いた。


タッカーの前はウェンウェイで、後ろはタフタなので、怪我をする事は無かったが、


「負傷をしては、逆に遅くなる。

少し休もう」


言って、木の根元に座った。


「だいぶ歩いたかな?」


チェコも腰を下ろすと、少し汗が流れた。


「もうそろそろ沢に出て、そこを過ぎれば尾根の真下の窪地に出る。そこまで来れば、七曲り尾根はすぐそこだ」


「おい、そこって確か、チャップマンの墓なんじゃないか?」


タフタの言葉にヒヨウは頷く。


「そうだ。

幽霊が出ると噂はあるが、俺は見た事はない」


「おー、幽霊!」


チェコは盛り上がるが、タッカーは小さな悲鳴を上げた。


「待ってよ待ってよ。

色々、恐ろしいものは見たけど、幽霊なんて!」


ミカは呆れて、


「片牙もすぐ近くまで来たし、黒姫も見たし、今更、ただの幽霊なんかにビビる?」


チェコも、


「りぃんも、まぁ幽霊に近いけど、友達じゃない?」


「僕はりぃんの姿は見てないし、りぃん君は確かに友達だけど、人の霊魂なんて、怖いに決まってるじゃない!

お化けと幽霊は、全然別だよ。

君たちの方がおかしいよ…」


チェコは首を傾げ、


「そのチャップマンの墓って怖い場所なの?」


少し、ワクワクしながら聞いた。


「チャップマンって言うのは、俺と同じ樵でな。

偏屈者で、常に一人仕事をしていたんだ。


だから、奴に何があったのかは判らない。

五年ほど前、通りかかった薬商人が、木の下で、ぼんやり立ってるチャップマンを見た。


カンカン照りだったのに、何故か傘をさしていたらしい。

で、七曲り尾根を登って山小屋に立ち寄って話したんで、最近、そう言ゃあチャップマンの奴を見てねぇな、って話しになって降りてみると、奥で、自分の斧で体を肩から割られたチャップマンがいた、って訳さ。


それから傘をさしたチャップマンが、度々現れるようになった」


「それって自殺って事?」


チェコは問うが、タフタは。


「斧ってやつは、自分一人で自分を切ることはできない。


ま、下手糞なら、足ぐらいは落とすかもしれんが、それもわざと、というのは無理だ。

木に当たって、跳ねて足にくる訳さ。


誰かにやられたにしちゃあ、チャップマンは自分の斧を握っていて、あんまり固くて外せないほどだった。


それに、何故か幽霊は傘をさしているが、山じゃ傘なんて使わない。

帽子とレインコートが山道の基本だからな。

転げたら大怪我だからな。

まして、雨の日に木を切るなんて、危ないから絶対しないし、ようは全くちぐはぐで、意味が判んねぇーのさ。


ま、ただ立ってるだけで、悪さをする、なんて話しは聞かないな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ