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スペルランカー  作者: 六青ゆーせー
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人質交換

「チッ、気づきやがったか…」


タフタが舌を鳴らした。


「あたいらをナメんじゃないよ。

小細工なんて、全部お見通しだよ!」


言うピンキーの肩は激しく上下している。

必死で走って来たらしかった。


「うるさい!

ヒヨウを放せ!

さもないと蟻塚を撃つぞ!」


チェコはアースを浮かべた。


ギクッとピンクの派手な髪の毛に、黒々とメークをした顔がうろたえる。


「へっ、そっちこそ。

俺が蟻塚を撃てば、どうなるか判ってんのか?」


と右手が、せせら笑った。


互いに睨み合うが…。


「まー、落ち着きましょう」


キャサリーンが話す。


「ここで蟻塚が一つでも壊されれば、全ての蟻が襲ってくる。

あなたたちだって命は惜しいでしょ。

人質を交換してくれるなら、こちらは応じるわ。

ヒヨウ君を、こちらに返しなさい」


へ、とピンキーは鼻で笑い。


「妖精が先だね」


再び静寂が、周囲の緊張を張りつめたものにしたが、キャサリーンは背負っていた箱を足元に下ろした。


「ここよ、さあヒヨウ君と交換よ」


ピンキーが左手に合図を送る。


左手が、ヒヨウを小突き、ゆっくりと前に出る。


キャサリーンも前に進んだ。


チェコは、緊張したまま、成り行きを見守っていた。


蟻塚が少しでも壊れれば、ここにいる全員が死滅する。

だから人質は交換されるはずだ。


このままならば。


だが、それで良いのだろうか?


そうしたらマットスタッフはパーフェクトソルジャーを完成させ、ハナは殺されてしまう。


チェコは、ハナが手に乗ったときの、鳥の羽根を手で受け止めたような、ふわりとした感触を思い出していた。


キャサリーンは、奴らの手に渡る前にハナを天に返せば良い、と言っていたが、今も蛭谷を占領しているマットスタッフは、そうなったら一気に山へ攻めてくるのではないか?


そうなれば赤魔湖の漁村も、杣人の村も、大変な被害を出すのではないのか?


だが…。

右手が、手を光らせて構えている。


奴の火炎はスペルより速い。


どうしよう…。


考え、チェコは、アースが十秒で消える瞬間に、こっそり森のリスを召喚した。






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