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スペルランカー  作者: 六青ゆーせー
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人質交換

確かに、絶対無敵なんていうデッキは、そもそも存在しない。

タッカーのような罠にはまる可能性は誰にでもあった。


「でも、使っちゃうよね、一/一が皆攻撃して来て、大地の呪文とか持っていたら。

だってスクランブルで全召喚獣に巨人のエキスがかかったら、もう即死だもんね」


はぁ、とタッカーは溜息をつき、


「いや、でもスペル無効化は持っていたんだから、慌てる必要は無かったんだよ。

二アース残してさえいれば…」


「まー、みすみす石化を撃てる相手の前にゴドブドラゴンなんて出さないわよ。

なんとか相手のアースが空になる時を見計らうわ。

とはいえ、下手うったわね」


ミカは楽しそうに言った。


「上の戦いは騙し合いなんだね」


チェコは実戦の話が聞けて、感動していた。

そんな戦いを早くこの目で見たいし、デッキさえ完成したら自分でも戦いたい!


「本当に騙し合いよ。

ポルトの大会に出た時なんて、急に南洋のカードを出してきた奴もいたのよ。

みんな知らないカードばかり。

まー、カードを使えなくして、タコ殴りにしてやったけど」


アハハ、とミカは豪快に笑った。


「うー、俺も早くデュエルしたいな…」


チェコは、唸った。


「そんなに長くはかからないわよ」


キャサリーンは言った。


「え、そうなの?」


チェコの問いに、


「ヒヨウ君は頭が良いわ。

彼が奴らの人質なら、必ず一人は彼にかかりきりになる。

だから、チェコ君も左腕を倒して、ミカちゃんも右手をやっつけて、奴ら、動きずらくなっているのよ。

ちょっとウェンウェイさんは判らないけど、彼にはりぃん君が付いているのだから、必ずどこかに無事でいるわ。

奴ら、今は多分、攻めあぐねているはずよ」


「でも人質交換は出来ないよね?」


チェコの問いに、アハハ、とキャサリーンは笑い、


「ハナが無事ならそれでいいのよ。

交換してからハナを天に帰してやれば良いだけだもの、何の心配もないのよ」


「そっか!」


チェコは喜ぶが、タッカーは、


「戦争は終わっていないし、蛭谷には変な客が今も泊まっているんだよ、チェコ」


と釘を刺した。

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