ハンドウェポン
「ええっ!
どうしてヒヨウが!」
驚くチェコに、後から来たミカが、
「あの子、襲われたのは自分のせいだと思っちゃっていたのよ。
青い服の右手と戦って、あたしたちを逃がして、ピンキーの不意打ちに気を失ってしまったの」
タフタも大きな体を揺らしながら走ってきて、
「ピンキーたちは気ぃ狂ってるぜ。
魔法弾は撃つし、それで砂雪崩が起きて、爺さんとキャサリーンは見つかっていないんだ!」
「パトス、匂い判る?」
パトスはクンクンと周囲に鼻を向けて。
「…キャサリーンの匂い、する…」
と砂漠に向かって歩き始めた。
「俺は左腕って剣客に襲われたんだ」
とチェコは顛末を話した。
「惜しかったわね。
あの左腕をそこまで追い詰めたなら、殺した方が良かったのにね。
きっと次は、奴も最初から本気で来るわよ」
うん、とチェコは言ったが、左腕の本気がどういう事なのか、は判らなかった。
パトスは砂丘を迂回し、その奥の巨大な砂の山に走り登った。
どうやらそれが崩れた砂、らしい。
「キャサリーン、ここ、!」
パトスは叫びながらも砂を掘り始めている。
チェコが登ったときには、キャサリーンの手が砂から突き出ていた。
「うわ、大変だ!
キャサリーン姉ちゃん!」
タフタとミカ、遅れてタッカーも砂を掘る。
砂は柔らかいので、すぐにキャサリーンを掘り起こせた。
「回復!」
チェコがスペルを使うと、ゲホ、とキャサリーンは咳をし、
「ハァ、苦しかったわぁ…」
と、重そうに腕を上げた。
タフタが、キャサリーンを抱えて砂丘を降りようとすると、
「チョイ待ちな!」
と声がした。
皆が一斉に振り返ると、そこには青い、体にフィットしたゴム製の鎧のようにも見える服を着、手と足を間接の上までグローブとブーツで覆った男が、右手を前に突き出し、構えていた。
「あ、あいつ、何か手の平から火が出るんだよ!」
チェコが教える。
「ハンドウェポン。
実弾兵器よ。
スペルでは、実弾兵器は防ぎずらいのよ」
ミカが解説した。




