赤魔湖
ハンザキの再生にも、リアルバトルでは一定の時間がかかるので、なんとか時間を稼ぎたいが、しかし、あの男は相当強そうだった。
「よし!」
チェコは叫び、そしてスペルを使った。
「バブル、俺たち全員を包み込め!」
大きく広がった泡がチェコたち全員を包み込んだ。
「赤魔湖向かって前進!」
バブルは砂を滑った。
「くそー!待てー!」
ブルーの服の男は叫んだ。
バブルは最初、砂を滑るのに大分かかったが、徐々に浮かんで加速してきた。
「左腕を返せー!」
ブルーの服の男は、再び右手を構える。
バブルは、その攻撃を受ければ破れてしまいそうだ。
「よし、ドゥーガは外に出せ!」
ボロボロのドゥーガを、砂の上に、ぼて、と落とし、バブルは尚加速して湖に向かった。
ブルーの男は攻撃体勢を解き、ドゥーガに走り寄る。
チェコたちは、湖に近づき、砂漠の終わりまで到達していた。
暗いのでよく判らないが、何かチェコ程の背丈の植物がポツポツと生えている。
「バブル、止まれ!」
砂漠ではなく、乾いた土の上にチェコたちは降りた。
草や灌木も生えており、時折は木も育っているようだ。
「パトス、みんなの臭いは判る?」
「…ああ。
…ずっと右の方角だ…」
チェコたちは、湖を見下ろす高台、といった場所を歩き出した。
ハンザキ二号の足は、すっかり治っている。
五号は、ハンザキの仔、ぐらいの大きさだ。
早く皆と合流した方が安全なのだが、ハンザキの足は鈍い。
「ウサギ。
皆に、俺たちの事を知らせて」
ウサギは、凄い早さで走っていった。
「でも、惜しかったな。
左腕を殺せたのに…」
「、、仕方ないわ、チェコ、、。
、、あの青い男は、厄介だった、、」
ちさが言う。
「うん。
砂の上なのにメチャクチャな速度で走ってたよね。
右手には、何か強力な火力があるし」
「…あいつ、鉄の臭いがした…」
パトスも言う。
おーい、と声が聞こえた。
え、と見ると、なんとタッカーが走って来ていた。
「ヒヨウたちが捕まっちゃったんだよ、チェコ!」




