表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スペルランカー  作者: 六青ゆーせー
463/688

「でもタッカー君。

その髪もなかなか可愛いわよ。

わざとカールさせる人もいるじゃない」


と、キャサリーン。


ハァ、とタッカーは項垂れ、そして首を振る。

当たり前だが、タッカーの癖っ毛は頭皮に密着しているので、微かに揺らめくだけだ。


「これが嫌なんですよ」


「まー判るけど、贅沢な悩みよね」


ミカは、少し笑ってしまいながら言った。


「俺、髪が伸びると邪魔な気がする」


とチェコ。


「山で暮らすにゃあ、そういう髪の方が都合いいぜ」


タフタ。


語りながらも、チェコたちは崖の鎖場までやって来た。


「俺は先に降りて下を見るから、上はタフタが面倒見てくれ」


ヒヨウは言って、軽々と鎖を降りていく。


崖から、チェコが首を出して下を覗くと、なるほど十メートル程下は、灰色の砂地のようだった。


すぐにヒヨウは砂の上にポンと跳んで周囲を見回し、頷いた。


チェコは鎖を伝ってみる。


鎖は、一片がチェコの足の脛程もある。

靴底が鎖の穴に入るし、見かけより楽だった。


軽々と砂地につく。


最後の鎖から、ヒョイ跳ぶと、砂地に足が沈んだ。


「へぇ、これはサラサラな砂だねぇ」


川原でも、なかなか、これほどフカフカの柔らかい砂はない。

もっと普通はゴワゴワした感触だ。


「ああ。

ここの砂は、とても上質なので、もし野鬼がいなかったら、とうに掘られて売られていただろう。

ここまで目の細かい砂は、中々あるものではない」


「砂って売れるんだ!」


チェコは驚くが。


「質による。

ただの砂では売り物にはならないが、珍しい物なら値がつくことがあるのだ。

ただし、それで暮らせるほど高値にはならないだろうが、それでも野鬼がいなかったなら、農閑期などに何もしないよりは、よっぽどマシだから売るだろう。


ここの山も、そうやって石や土、砂を売ってしまい、岩だけが残ったところも結構あるんだ」


話しているうちに、キャサリーンとミカが楽々と降りてくる。


タッカーが、不安げに上から首を出した。


「タッカー、この砂は、お布団みたいよ。

無理そうなら落ちてみれば?」


ミカは笑いながら声をかけた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ