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スペルランカー  作者: 六青ゆーせー
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結果ではなく

チェコも、用心深く、周囲を見回すようになった。


敵が、もしかしたら居るのかもしれない…。


どうも、あの光りが頭から離れなかった。

火打ち石のような光りではなく、雷光のような輝きに見えた…。

状況的に、あんな位置に攻撃を仕掛ける意味がない、と言われても、なんとなく納得は出来ない。


だが、現状では、確かに前に進むしか無かった。

仮に、今まで歩いたと同じ時間をかけて戻ったとしても、どのみち杣人の村と蛭谷とは戦争状態だ。


タフタの顔でなんとか通してもらったが、いざ戦い、となったら、チェコたちは逃げ惑うしかない。

どちらか一方に手を出したりしたら、例えそれが身を守るためだったとしても戦いに参加したと思われてしまい、戦いに巻き込まれる。

とても下山など出来なくなる。

ここは砂漠から赤魔湖まで降りてしまうのが一番の上策だった。


でも、だとすると、あの光りはどういう事なのかな?


とチェコも、頭をひねってしまう。


黒姫というオバケのテリトリーなのに、まず、どうやって岩を折ったのかが謎だし、意図も見えない。


ただスペルランカーとしてのチェコの勘は、注意警報を告げていた。


予測出来ないから意図がない、と思うのはデュエルでは下策なのだ。


何かをしようとしている…。


そう考えるべき…、なのだ。


うーん、とチェコは腕を組み、


針岩と、黒姫の目を、どう掻い潜って道から離れた岩を崩したのかは判らないけど…、と考えた。


結果だけを見て判断してはいけない、のかもしれない。


そうだ!


チェコは閃いた。


こんな場所では、岩がどう倒れるのか、は予測しずらい。

だから結果は、ああいう形になったが、実は、意図としては、別な結果を目論んでいたのではないか?


可能性はあった。


「ねー、あと、どのくらいで、ここから出られるの?」


ミカが聞いた。


「あと十分、というところか。

道の状態次第だが、もう三分のニは歩いている」


ヒヨウが教えた。


ハァ、とタッカーは溜め息をつき、


「ここを出ても砂漠なんだよね。

一晩中、歩くんだね…」


ハハハ、とヒヨウは笑い、


「砂漠は山よりは歩きやすい。

下りならな。

昇るのは地獄なんだがな」


と教えた。

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