骨の原
足場が砂利程度に安定してきたので、周囲もよく見えるようになってきていた。
右手は赤竜山の山頂の一部だという岩壁が続いており、左側は緩やかに下る砂利の多い原っぱだった。
所々に巨石が突き出ているが、視界を遮るほどではない。
荒涼とした砂利の道は、緩やかに、今は上っていた。
かなり遠くに、これから向かうという針の山のような岩場が見えている。
満天の星は、チェコたちを押し潰す程の鮮明さで空を覆い尽くしていた。
「あれ、変な形の石があるよ」
チェコは近くの砂利を指差した。
その石には、まるで誰かが描いたように、魚の骨が浮き上がっている。
「ああ、この辺には珍しくない。
俺も子供の頃、この辺に来ると、変わった骨の石を探したものだ。
なかには、竜の骨などもみつかるんだ。
ここは、だから骨の原、と呼ばれている」
ヒヨウが楽しげに語った。
「化石と言うかな」
ウェンウェイが、回りを見渡した。
「骨は、時間を経ると、やがて石になってしまうかな。
そうした石が多く出る場所が時折あるが、きっとここもそうなのかな」
「おいおい、気を緩めるなよ。
白い道から、ちら、とでも出たらヤベーんだからよ」
タフタが警告する。
チェコは、
「でもさ、
あの山羊の道って、靴しか乗らない所、あったよね。
体は道の外に出てる訳じゃないの?」
「確かにそうよね」
ミカも驚いたように同意する。
「あそこは、白く見えるところより幾分広く、白い道になっているんだ。
白砂だけが道ではない。
白は単なる目印だ」
とヒヨウ。
ふーん、と納得したチェコだが、骨の原を見渡し、
「俺も、竜とか欲しいな…」
呟くと、タッカーが。
「大会の上位になると、出てくる召喚獣も強くなってさ。
僕を負かした奴なんか、四ターン目にはゴドブドラゴンを出してきたんだよ。
いやぁ、強かった…」




