表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スペルランカー  作者: 六青ゆーせー
435/688

スペルランカー

いつも読んでいただき、ありがとうございます。

冬休みの旅行に出るため、しばらくお休みします。

再開は、15日からの予定です。

チェコたちは、熊肉入りのおじやを食べた。


確かに干した熊肉は、肉の感触と旨味は充分にあるが、生の熊肉のような独特の匂いは無く、食べやすかった。

おじやには、ヒヨウがいれた干したキノコなどもふんだんに入り、とても良い出汁が出ていて、旨かった。


そして…。


ギィ…。


小さく入り口の扉を開け、ヒヨウは鼻先を外に突き出した。


「うん…。

臭いは無くなっている…」


ヒヨウの足元では、同じくパトスが鼻を突き出していた。


「どう?」


チェコがパトスに聞くと、たれ耳の茶色い子犬は、元気に尾を振った。


「…大丈夫…。

…俺にも判らないほど、奴は遠くへ行った…」


よし、と皆を振り返って頷き、ヒヨウは大きく扉を開けた。


初夏とはいえ、冷えた山頂の高山の空気が、囲炉裏の火で温まった室内に飛び込んでくる。


「では、行くとしよう」


崖に掘られた溝の道に出たヒヨウは、来た道を戻るのではなく、先の方向に進んだ。


「そっちから砂漠に出られるんだ?」


チェコの問いに、


「エルフ道というのは、幾つも脇道があるんだ。

こっちから山羊の道へ出れば、少しだが距離が稼げる」


話ながらも、ヒヨウはペースを速める。

チェコは空を見上げた。


「それにしても、星も何も見えないね。

雨でも降るのかな?」


ああ、とヒヨウは首を振り、


「夜なので判らないだろうが、この辺は地形が複雑でな。

今、空と思っているのは巨大な岩の壁なんだ。

もう少し進めば空も見える。

大丈夫、風の匂いからして雨はない」


「ひょえー、臭いで天気予報をするのは、パトスぐらいだと思っていたよ!」


チェコは驚いた。


「…俺は、臭いだけで予測するんじゃない…。

髭の湿り具合とか、腹の毛の味とか…、足の裏の感触とか…、土の下の虫の音とかだ…」


パトスは天気予報の仕方を開陳したが、腹の毛の味などは、チェコたちには意味不明だった。


「ハハハ、聖獣は違うな。

エルフはせいぜい周囲の臭いで判断するだけだ。

雨が降る前には、湿度が上がるので臭いも変わるものなんだ」


歩く速度を上げながら、七人は溝の道を進んでいく。

幸い、エルフ道は丁寧に作られているので、足元は屋内のように整っていた。


やがて、ヒヨウが手を上げて皆を制止した。


溝の道の岩側に、横穴が掘られていた。


「ここに入って、しばらく下れば山羊の道だ。

階段だから、よく足元を注意してくれ」


なるほど、アーチ型に掘られた穴は結構な傾斜で、下に下っているらしい。


ヒヨウを先頭に、チェコたちは階段のトンネルを降りて行こうとしたが、パトスが叫んだ。


「…待て!

…向こうの道に…、何か変な臭いがある…!」


その声は、とても切迫していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ