ハイジの空中都市
「野法師の墓!」
チェコは驚きの声を上げた。
「ああ。
奴らは、全くあてどもなく歩いているが、実は特定の場所を目指している、という説もある。
野法師の死骸が見られないのが、その理由という話だが、山には人ならぬものも多いから、それらが何かしてしまうんじゃないか、と俺は考える。
まあ、墓があったとしても、思うような規模では無いだろうな」
ヒヨウは、ワラの靴底を足に付けながら語った。
「墓があったらなんだって言うのよ?」
ミカが聞く。
「熊の骨や牙、爪、鹿の角なんかはな、嬢ちゃん。
ちょっとした金になんのさ。
それが、墓って規模で出てきたら一財産、って訳さ」
タフタが教える。
「へー、どのくらい儲かるの?」
チェコが聞いた。
「熊の牙は四百リンぐらいかな?
爪は一キロで二千リンぐらい、骨は十キロで八百リン、鹿の角は左右揃って六百リンぐらいだな」
「悪くない!」
墓の規模次第では一~二千万リンぐらいにはなるかもしれない。
ハハハ、とヒヨウは笑い。
「チェコ、お前みたいなのが野法師をつけて歩いて酷い目に会ったことも数知れないんだ。
馬鹿馬鹿しい夢は見ないのが一番だぞ」
「まー、俺なんて、道の無い山ん中を、木を探して歩き回るからな。
俺が知らないんだから、そんなもんは無いのさ」
タフタは一人、頷いていた。
「そうとも言い切れないかな。
木の生えていない所にある可能性もあるかな」
ウェンウェイは言う。
「山っていうのは、意外と人が沢山入るものなのよ。
キノコや山菜、草や木、石、山でしか手に入れられないものはいくらでもあるから。
だから普通は、そんなのあったら、とっくに見つかっている、と言うわよね。
ただ、いつでも新しい発見は、あるところにはあるのよね、伝説は馬鹿には出来ないものなのよ」
キャサリーンは墓がある可能性を示唆した。
「ずっと伝説と言われていたハイジの空中都市が見つかった例もあるかな。
伝説は、何らかの事実を語っているものかな」
ウェンウェイは力説した。




