崖登り
「ぷはぁ-、もう食べられない!」
チェコは、鍋の横に寝そべった。
キャサリーンは、既に草の上でウトウトしている。
「いやー、釣った魚が大きすぎたねぇ」
パトスは鍋を覗き込み、
「まだ…、余ってる…」
「大丈夫、大丈夫!」
チェコは、三人の木の椀を淵で洗うと、そこに残った鍋の中身、ほとんど汁を吸って膨れ上がった米、を一杯によそい、木の葉をかぶせた。
木の葉は、ぴたり、と貼り付いた。
それをこぼれないよう、布で包んでリュックに詰める。
干していた魚の切り身は、袋になった網に入れて、リュックの横に結び付けた。
「よーし、行こうか!」
キャサリーンは、すっかり寝込んでいたが構わずに、チェコは、滝に近づき、岸壁をよじ登り始める。
器用に三十メートルの絶壁をやすやすと登り切り、ロープを落とす。
「パトス、キャサリーンを起こして!」
目覚めたキャサリーンは、いきなり崖登りを強要され、失神しかけた。
十分ほど大騒ぎをしていたが、胴体に紐を結んで引っ張ってもらう、と妥協案を受け入れ、やっと心を動かした。
滑車のロープを、パトスとチェコが引っ張り、キャサリーンは崖を登った。
最後にパトスが噛みついたロープを引き上げ、チェコたちは同太の森の入り口に立った。




