裸
「目を合わせない、喋らない、動かない」
チェコは復唱した。
「そうだ。
そして踞って、酒を燃やし塩を焼き続けるのだ」
「それで命が助かるなら、安いもんだな」
タフタも頷く。
「裸っていうのが、ちょっとなぁー。
下着くらいは良いのかしら?」
ミカは包帯の下の眉をしかめさせた。
「判らない。
エルフの女は、迷わず脱ぐからな。試したいなら、俺から離れたところでやってくれると助かる」
むー、とミカは唸った。
「で…、でも。
そんな、必ず出る訳じゃ無いんでしょう?」
タッカーは、少し引きつりながら聞いた。
「夜だからなぁ…。
普通は片牙を避けて、夜に歩いたりはしないんだよなぁ」
とタフタ。
「あたしは、砂漠なんてあるの、今日初めて知ったわ。
だけど…。
山羊の道は、結構危ない場所じゃなかったかしら?」
「出る、とは言うよな」
タフタも頷く。
「それほど頻発する訳ではない。
ただ、白い道が判りずらいので、そう思うのだろう」
ヒヨウは語った。
「でもさ。
ピンキーって、俺たちを見張ってるんでしょ。
そしたら、砂漠にだって追って来るんじゃないのかな?」
チェコが聞くと、ヒヨウは頷く。
「片牙を警戒して先回りするか、それともつけて来るかは半々だな。
だが砂漠では隠れる場所が無いから、不意討ちはされにくい、と言うことだ。
多分、何処かで戦いは避けられないだろう」
「敵が見えているだけで随分違うわ。
奴ら、それほど遠距離攻撃は無いから、右手の奴のハンドウェポンぐらいに気をつければいいはずよ」
「だけどよぅ。
俺も、野鬼がいやがるんで砂漠に近づいた事は無いんだが、野鬼以外に危ない事は無いのか?」




