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虹カマスのスープ
「さー、スープの仕上げだよぉー」
チェコは、木の椀にカマスの肝臓を入れ、匙で崩しながら味噌と、さらにハードタイプのチーズをおろし金で削り入れ、に立った鍋に回し入れた。
「出来上がりぃー!」
木椀にスープをよそい、キャサリーンに渡す。
パトスの前にも湯気を立てたスープが置かれるが、パトスは木の葉によそわれた虹カマスのカマに夢中だ。
キャサリーンは串のまま虹カマスを食べ。
「あら、もっと臭いかと思ってたけど、全然、そんなことないのねぇ。
油の多い白身魚と言われても判らないわ!」
「この辺は水がいいからねぇ」
ほくほくと、チェコもカマを齧る。
「スープも絶品だよー!」
言うが、
「あ、忘れてた!」
リュックから袋に入っていた米を取り出し、ささっと洗うと、鍋に放り込み、ふたを閉める。
そしてふたの上に、周りの石をポンポン乗せた。
「これを忘れちゃあ、始まらないよねぇ…」
言うと、スープをずずっ、と啜った。
米を入れた鍋からは、白い湯気が立ち上り始めていた。




