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スペルランカー  作者: 六青ゆーせー
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タウトゥンの謎

「世界樹の樹液など、王候貴族でも飲めないかな。回復の妙薬だが、これを瓶に入れても、すぐに普通の水になってしまうのかな。

ここまで歩んで来た者だけが口にする権利を持つのかな」


言いつつウェンウェイも、髭の間に水筒を差し込む。


「へぇ、これがただの水になっちゃうんだ!」


逆に驚く。


「こういうのも魔法の一つなのよ。スペルカードだけが魔法じゃないの」


とキャサリーン。


「本当は、こういうものこそスペル解析にかけて魔法を分析出来れば良いんだけど、ここでスペルなんて使ったら、タウトゥンたちに襲われちゃうのよねぇ…」


ちょっとなげやりに、キャサリーンは樹液を飲んだ。


「タウトゥンは非常に知的な生物で、ネルロプァを神聖なものと崇めている。微かでもネルロプァを害する、と思われたら、本気で外に放り出されるから気をつけろ」


ヒヨウも言う。


「でも、あいつらって不思議だよね。

あそこ、トイレ? にも、出入口なんて無かったよね?」


「うん、気づいたときには、もう目の前で唸ってたんだ」


タッカーも言う。


「彼らの生態は全く判らない。

エルフがネルロプァの道、つまりこれを掘ったとき、タウトゥンたちと出会い、争ったのだが、意思の疎通が図れると判り、協定が結ばれた。

何でも、特殊な笛によってのみ交流が出来るというのだが、その笛でない場合は、彼らは音を嫌う。

口笛などを吹くと、急に現れ、怒る。

どこから来るのか帰るのか、全く判らない。

ただエルフと争ったとき、およそ数十のタウトゥンが現れたそうだが、百人のエルフでも、とても敵わなかったらしい」


「え、なに、タウトゥンって強かったの!」


チェコは叫ぶが、


「あんた、話し聞いてなかったの?

ここは空気が薄いから、タウトゥンに太刀打ち出来ないのよ」


ミカが叱る。


「え、じゃあ空気が薄いデッキを組めば…」


「馬鹿ね。

タウトゥンは五枚しか入らないわよ」


ミカは鼻で笑った。

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