脳筋集団
おお、地形デッキか!
チェコは前に作りかけて、ミカに止められた地形カードを思い出した。
水地形なら、魚系の召喚獣がとてつもなく強くなる。
しかも敵が対応できなければ、そのままタコ殴りで終わってしまう可能性も大いにある。
地形カードは、厳密にはエンチャントスペルではなく環境スペルであるため、個別のエンチャント破壊では壊せない。
そのため、ハマれば圧倒的に強い、という特徴があった。
ただし、環境は、良くも悪くも全体に影響を与える。
水は電気を通すため、一発の雷が全体スペルになる。
また爆破系のスペルも水中では倍の威力を発揮する。
どのみち、地形デッキと見られれば、即座に対応カードを入れ換えるのがトーナメントなので、地形デッキが大会で見られる事はほとんど無い。
「じゃあ、ここで襲われる事は無いんだね」
「普通はな。
だが、どんな悪巧みをするか判らない奴らだから油断は禁物だ。
ある意味、例えば敵が自在にタウトゥンを怒らせる術を発見していたとしたら、それだけでも、俺たちは全滅しかねないんだ」
実はそれは、チェコとタッカーが発見していたが…。
「でもさぁ。
確かキャサリーン姉ちゃんが、妖精はキャサリーン姉ちゃんが死んだりしたら自動的に天に帰る、って言ったよね?」
チェコの問にミカが、
「奴ら、中身まで判ってないのよ。
何か金目の物だとは嗅ぎ付けても、それが換金出来るかどうか、そこまでは判ってないのよ。
あくまで力ずくの脳筋集団ってことね」
「めんどくさく奴らに目をつけられたわねぇ…」
キャサリーンは嘆いた。
「でもピンキーたちは強いよ。
特に右手と左腕の二人は、プルートゥでもなけりゃ相手に出来ないレベルだから、教われても真っ正面から戦っちゃ絶対駄目よ」
ふーん、とチェコは考え、
「じゃあ、どうするの?」
「チェコなら、プルートゥの時みたいに、バブルで捕まえられれば良いんだけど、奴ら、スペルは使わない分、早いから、二、三人で上手くあしらって足止めしないと無理でしょうね」
「バブルで封じて、それから?」
チェコが聞くと、
「まっしぐらに逃げるのよ。
戦おうとかしないのよ」




