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スペルランカー  作者: 六青ゆーせー
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口止め

数分後、チェコとタッカーは大汗をかきながら戻ってきた。


「大丈夫だったか?」


ヒヨウが心配して声をかけた。


「ああ、タッ…」


喋りかけたチェコは、タッカーに背後から口を塞がれた。


「ああ。

す…、する前に出くわしちゃってさ…。

何故か怒ってたんだよ…、あの、タウトゥンがさ、

それで動けなくって…、チェコに助けられたよ」


ふむ、とヒヨウは考え込む。


「する前に現れ、しかも怒っていた…。

ちょっと異常だな、それは…」


ミカも、


「もしかしてピンキーたちが何か…、

あ、まさかネズミをここへ?」


ヒヨウとミカは顔を見合わせた。


「まずいな。

ゆっくり休むつもりだったが、もし、この一本道で挟撃にでもされたら厄介だ。

急いで進もう!」


タフタたちも素早く荷物をまとめ出す。


「ちょっと…。

いいの、タッカー兄ちゃん?」


チェコが囁く。

タッカーは、う、と詰まったが…。


「も…、もしかしたら本当に敵がいるのかもしれないじゃないか…。

チェコ、あの事は絶対、言わないでよ」


タッカーに念を押され、チェコは、ふーん…、と急に悪い顔をしだした。


「な、なんだよチェコ?」


「俺の口は固いよ。

でも、心配なら、もっと固くする方法もあるかもよ」


「え…、何?」


慌てるタッカーに、チェコは、


「スペル無効化と石化で、すべて忘れちゃうよ、俺」


と、思わせ振りに囁いた。

タッカーは、ああ、と笑う。


「そーか。

別に、助けてもらったんだし、それぐらいは、すぐ渡せるよ」


カバンからファイルを取り出した。


たいていのスペルランカーは、カードの破損などにも備えて、予備のカードをファイルに入れている。

大会で、敵のデッキに対策が必要になった場合、即座に組めるよう、デッキに組み込めるカードも、様々ファイルには入っていた。


めくると、チェコの欲しいカードがズラ、と並んでいる。


「チェコ、もしかして土石流とエルミターレの岩石、も欲しくない?」


チェコは、我を忘れて、欲しい欲しい、と子犬のように喜んだ。

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