タウトゥン
ちょっと汚い絵面ですいません。
あまり多くを想像せず、読み飛ばしてください…。
ミカやヒヨウが口を挟む隙も与えず、チェコは一瞬で走り出した。
ランタンで琥珀色の通路を照らしながら走ると、楕円の右手に細い隙間が開いていた。
チェコが中に飛び込むと、タッカーは棒立ちに立ち尽くしていた。
そして…。
タッカーの真正面に、まさに牛よりも巨大な、白い蟻が、微かな唸りを上げていた。
ランタンを近づけると、顔は蟻のようではあるが、体には皮膚を纏っているようだ。
目も、昆虫の目ではなく、動物の目玉のように見える。
だが、大きく飛び出し、全てが黒目だったが…。
白い皮膚には、確かに牛によく似た短い毛がビッシリと生えていた。
そして長い、五十センチ近い首の後ろには、足長蜘蛛のように細く長い足が六本、左右三本づつ生えていた。
タッカーは、中途半端に下着を下ろしかけたまま固まっていた。
「する前にさ、会っちゃったんだよ…」
唇だけを動かすように、目はタウトゥンから外さずに、話していた。
白い巨大生物は、ギギギ…、と唸っていたが、その牛並みの蟻の顔は、何に怒っているのか見当もつかなかった。
「これ、怒ってるよね…」
「うん、僕、乾燥肌だから、ちょっと体に薬を塗ろうと思ったんだけど、その臭いのせいかな…、怒っちゃたみたいなんだ…」
タッカーは、小さな瓶を手にしていた。
「ヒヨウに聞こうか?」
チェコは提案するが、
「だ…、駄目駄目…。
頼むよ…。
何とかして欲しいんだ…」
タッカーは、木像のように動かないまま、言った。
チェコは、うーん、と考え、
「じゃ、やってみよーか」
不意にニコニコ笑うと、その場でズボンのボタンを外すと、シャーと小水を放った。
巨大な楕円形の顔が、ぬらーとチェコの方を見た。
「タッカー兄ちゃん。
早く薬をしまって、ほら、する事しちゃいなよ」
え、とタッカーは狼狽える。
「こ…、ここで?」
「とにかく、この虫…、いやタウトゥンの好きな臭いにしなきゃダメだと思うんだよ」
え~、とタッカーは悩んだが、
「こっち見ちゃ嫌だよ…」
と言いながら、思いきった。




