トイレ
「そんなに大きいの?」
タッカーは、オロオロと聞いた。
「ちょっと、ああいうのを何に例えれば良いのか判らねぇが、牛くらい大きな蟻、とでも言ったらいいかな?」
ニヤニヤと、タフタは教える。
「牛の大きさの、蟻!」
チェコは絶句する。
「スゲー!
見に行こ、見に行こ!」
タッカーは、頭を抱えたが、
「で、でも危険は無いんだよね?」
と、念を押した。
「こちらから手を出さなければな。
人間に害は与えないが、人の感情など判らないので、向こうが、危険と判断すれば怒り出す。ギギギ、と低く唸ったら要注意だ。
ゆっくりと距離を取れ」
ヒヨウの説明に、タッカーは決心した。
「僕はやっぱり、トイレだけは人に見られたくないよ、チェコ。
一人で行く!」
言うと、タッカーは立ち上がった。
えー、詰まんないの、と拗ねるチェコだが、
「チェコ。
諦めなさい」
とミカに叱られ、うーん…、と生返事を返して一旦、座るが…。
「あ、俺も、別にトイレ行く!
それならいいでしょ!」
と、立ち上がって目を輝かせた。
「チェコ。
エチケットよ。
せめてタッカーが終わるまで待ちなさい!」
ミカが怒った。
その勢いに負けて、チェコは、判ったよ…、と座ったのだが。
「おーい…」
と、微かに、タッカーが呼ぶ声が聞こえた。
「ちょ、ちょっと困ったことになったんだ…。
チェコ、一人で来てくれないか…。
絶対、チェコ一人だよ」
タッカーは、語っていた。




