トイレ
ミカとキャサリーンが、うげっ、と反応した。
「あらぁ~、なんとか女子は見逃してもらえないのかしら…」
キャサリーンは言うが、ヒヨウは、
「俺たちに虫のオスメスなど見分けがつかないように、奴らは人間の男女を識別できない。
悪意はないのだ、と理解してもらうしか無いな」
ミカは、
「あたし、何度かここ、通ってるけど、そんなの見た事無いよ」
「それは多分、ミカがここで、そういうことをしていないからだろう。
行動を取れば、判っていても驚く速度で現れる」
おお!
逆にチェコは、盛り上がってしまった。
「すればいいんだね!
必ず見れるんだね!」
「チェコ、止めなさい!」
ミカとキャサリーンの声がハモる。
えー、見てみたいよ…、とごねるチェコをよそに、タッカーが弱々しい声を出した。
「…あの…、僕、実はトイレが無いのか聞こうと思ってたんだ…」
うひょう!
我が友よ! 、と喜ぶチェコと、本気で怒り始めるミカに苦笑しながら、ヒヨウは、
「ネルロプァには、幾つか横に入り込む細い穴があるから、それをトイレと思ってくれれば良い」
どこ、どこ、とチェコは今すぐ飛んで行く構えだったが、タフタが、
「百メートル先だよ。
行きゃあ判る」
チェコは立ち上がり、タッカーの腕を引いた。
「早く行こ、タッカー兄ちゃん!」
大興奮のチェコにタッカーは困り果て。
「チェコ…。
あの、行くなら一人で行きたいんだけど…」
「なんだよぅ、男同士だろ、気にすんなよぅ!」
ノリノリのチェコは、タッカーを持ち上げんばかりの勢いだ。
「いや、あのぅ…、実は大の方だから…」
「全然構わないよ、何なら俺も、すれば出るかも知んないし!」
渋るタッカーに、タフタは、
「タウトゥンはでかくて気味悪いぜ。
チビと一緒の方が良いんじゃねーかボウズ。
お前じゃあ、失神しちまうかもしんねーぜ」
へへへ、と笑った。




