解体
リュックから鍋を取り出し、鍋の中から包丁、まな板、木の椀などを取り出すと、チェコは、巨大魚の解体に取りかかった。
エラブタから包丁を入れ、三枚におろしていく。
皮面を下に、地面に置いておいて火を起こす。
鍋に水をくみ、魚の骨を放り込んだ。
横に、もう一つ火を作り、そこに虹カマスの頭だけを丸ごと入れた。
「このカマのところは美味しーよ!」
チェコは、近くの木の枝をナイフで切って、カマの肉を頭の横に置き、串焼きにした。
沸騰した鍋に、残りの魚の切り身を入れる頃、パトスは袋を咥えて戻ってくる。
「百合の根でしょ、カエン草の花に、コツブ芋、それにパセリ、セージ、ローズマリーにタイムだ!」
雑に淵の水でザブザブ洗うと、次々に鍋に放り込む。
さらにリュックから取り出した岩塩の塊をナイフで削って鍋に入れ、別に袋に入れた味噌を溶き加えた。
「おー、切り身はそろそろ焼けたねぇ」
遠火でじっくり焼いた虹カマスのカマの切り身は、良い匂いを漂わせていた。
一方、一メートル二十の巨大魚だったので、鍋に入りきれない切り身がたくさん残っていた。
それらは、木の葉に乗せて、ナマリ蛇の開きと共に日に干した。
カマの肉を皆で食べながら、小さな鉄ポットを火にかけて、茶を沸かす。
のんびりとした食事タイムが始まっていた。




