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スペルランカー  作者: 六青ゆーせー
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急襲する暗殺者

「さぁ、あと少しだぞ。

枝につけば好きなだけ休める。

登ってしまおう」


ヒヨウは、主にタッカーを励ましている。


「それでなけりぁ、またエルフタッチだよぅ」


チェコもタッカーを脅かした。


「や、止めてよ。

あんなもの、もう二度としないよ!

見てよチェコ!」


とタッカーは、エルフの上着を捲って見せた。

脇腹に、どす黒いアザとなって、指の跡が残っていた。


「もー、女の子の前で、止めてよ」


ミカが文句を言い、あ、ゴメン、とタッカーは慌てて上着を下ろした。


「痛かったろうが、しばらくは体調も良いはずだぞ」


ヒヨウは、ニンマリと笑って言った。


「でもさぁ…」


とチェコ。


「その灰かぶり猫って、ネルロプァで襲って来ないの?」


ヒヨウは大丈夫だ、と言い、ミカは心配ない、と言って二人はハモった。


「灰かぶり猫は待ち伏せをして背後をつく急襲する暗殺集団よ。

ネルロプァのような一本道では隠れる場所が無いから襲って来ないわ。

赤竜山に降りてからは気が抜けないから、ここでゆっくり休んだ方がいいわ」


ミカが教えた。


「僕は、寝られればそれで良いよ」


とタッカーは欠伸をする。


ミカは、ここってシャワーぐらいつけられないの? とヒヨウに文句をつけた。


「ここでは全てが貴重品だ。

水はあるが、体を洗って水を汚す訳にはいかない。

赤竜山には湖があるから、そこまで我慢してくれ」


ヒヨウは真面目に答えた。


「へー、湖。

魚はいるかな?」


チェコは食べ物に反応した。


「いるぞ。

ピジョンという、泳ぐ鳥がいて、こいつが旨い」


ヒヨウは、本当に旨そうに言った。


「でも湖にはね、巨大な怪魚も潜んでいるのよ」


ミカは怪談を語るように、声をひそめた。

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