黒龍山の精獣ゴロタ
チェコは、念願の骨付き肉のハムを食べられた。
タフタの持ってきた固パンに挟んで食べると、抜群に旨い。
虹カマスの干物も、火で炙って食べると、やはり格別に旨かった。
タッカーは、食べて再び寝入ったところだったので、あまり食欲は無かった。
「うーん、こんなに美味しいのに、食べ切れなくて残念だな」
「どっちにしろ、まだ、だいぶ残るかな」
巨大ハムは、九人で食べても、三分の二は残った。
食べた後は、また一からネルロプァに登ることになった。
「チェコはスペルを使ってたよね?」
タッカーは、うんざりと愚痴った。
「あれは、ゴロタがそうしてくれていたから出来た事だ。
今は、もう山に帰ってしまったからな。
歩くしかない」
チェコは、一枚のガードを見つめた。
黒龍山の精獣ゴロタ。
二○/二○の力を持つ、圧倒的な召喚獣だ。
チェコが頼むと、快くゴロタはトレースさせてくれたのだ。
「まぁ、二十アースないと召喚できない、って事が一番の問題よね」
隣のミカは言った。
「チェコのデッキなら、もしかしたら、って可能性はあるけどね。
無事に山を降りられたら、黄金蝶とか、しゃれこうべ、を買ったらいいよ」
タッカーも言う。
チェコが、森と闇の修験者、の事を話すと、タッカーは驚くが、
「アースを出せる召喚獣は、皆一/一なんだよね。
すぐ死んじゃうから、思うように大型スペルは使えないんだ」
「そうだよねー。
赤の、全ての召喚獣とプレイヤーに八ダメージの山火事、とか、光の、全ての召喚獣を殺して自分のライフを+二十にする神聖光とか、使えれば面白いのになぁ」
チェコも言うが、ミカが釘を刺した。
「あんたたち、本気でデュエルで勝ち上がる気があるなら、そういうギャンブルカードに頼っちゃ駄目よ。
自分の使えるアースだけで動くデッキを組みなさい。
本当に、色々な妨害スペルがデュエル本戦では使われるわ。
その国たけのマイナースペルとかも沢山あるのよ。
もちろん、石化とか、エンチャント破壊とか、チェコも使った略奪する力、とかバンバン入ってくるの。
それに耐えられなければ、そうそうに負けることになるのよ」
ぬー、とチェコは考え込んだ。




