目覚め
ベロリ、と何かがチェコの顔を、湿った暖かいもので拭いた。
うん、とチェコは寝返りを打とうとし、目を覚ました。
そこには、巨大なゴロタの顔があった。
「ああ…。
ゴロタ…、体、治ったの?」
「そうだ。
それもこれも、お前のお陰だ」
言うとまた、ゴロタはチェコの体を舐めた。
「あれ?
俺、裸だ…?」
チェコはパンツ一枚になっていた。
驚くチェコに、タッカーが声をかけた。
「その方が効果が早いから、ってゴロタが言ったんだ。
大丈夫か、チェコ?」
チェコは腕や足を動かしてみる。
「うん、別になんともないよ。
よく眠った、みたいな気がする」
「気がする、じゃないよ」
タッカーは笑った。
ネルロプァの根に隠れるように、ヒヨウたちは踞って寝入っていた。
空は、もう夕焼けの赤い空だ。
「タッカー兄ちゃんは大丈夫なの?」
アハハ、とタッカーは笑い、
「さっき、お腹が空いて起きちゃったんだ。
今、食べたから、また寝るよ…」
大欠伸をし、タッカーはネルロプァの根の溝に滑り込んだ。
「もう、とにかく眠くってさぁ…」
ふーん、とチェコ。
チェコ自身は、気持ちよく起きたところなので、今すぐは寝れそうになかった。
そういえば…。
変な夢を見たなぁ…。
チェコは、ありがとうゴロタ、と言って、巨大なゴロタの腹の上から降りた。
山の外気は冷たい。
ぶる、っと震えて、たたんであった服を着ると、スペルボックスを開いた。
一枚のカード…。
夢に出てきた、静寂の石、を手に取った。
一応、チェコも錬金術の三枚のカードは知っていたが…。
しかし全ての物は、六つの属性を全て内に持っている、って。
一体どういうことだ…?
このカードの、本当の使い方って、何だって言うんだろう…?




