属性
「あれは何だ?」
「黒龍山!」
自信があったので、チェコは鼻息も荒く勝ち誇って答えた。
「これは地理じゃない、錬金術だ。
石でいい。
さて、では石はスペルランカー的にはなに属性だ?」
ん、とチェコは考えた。
石の属性?
特に聞いたことはなかったが…。
「火…、かな?」
「じゃあ、石は何で火なんだ?」
チェコは頭をひねって。
「え、と…。
溶けたらマグマだから?」
「溶けてマグマになるから石が火属性なのではなく、あまねく我々の暮らす大地の足元深くには石があり、その重さゆえ石は圧迫され燃えて溶け、マグマになっている。
つまり火とは、そもそも燃える石と同じなのだ」
「へー地面の下で燃えているのか!
でもあれ? 山じゃ無ければ足の下にあるのは土でしょ?」
「土の遥か下には、必ず石がある。
また、圧力によって土も石になる。
そして、同時に地面の下には水もある。
お前も毎日、井戸から水を汲んだろう」
「おお。
あるね、水!」
「じゃあ、水も火か?」
「ええっ、違うよ、水が火の訳無いよ!」
「ところが、火にも水の要素は含まれているのだ。
湿った火もあれば、乾燥した水もある。
いいか、森火水光闇冥などとスペルランカーは分けているが、全ての中に、全ては含まれている。
闇の中に光もあれば、光の中に闇の要素もある。
お前の、静寂の石とは、それらをコントロールして錬金をするための機械であり、もっともっと様々な事が出来るのだ。
よいか、第一講座は、全ての物には自ずと、全ての要素が元々含まれている。
水の中に森もあり、火もあり、光も闇も冥も、必ず含まれて一つの、水、というものを形作っているのだ。
それを、よく考えて、いいかチェコ。
物の本質を見極めるのだ。
それらは基本的には六つの属性の組み合わせで出来ている事を理解しろ。
判ったな…」
チェコは、夢の中で、ダリア爺さんに頷いていた。




