湖の向こう
キャサリーンとパトスが花の中を降りていくと、チェコの釣竿が、急に立った。
「来たよー!
早く早くー!」
キャサリーンは慌てて駆け下りるが、竿は、ぐぅん、と大きく撓った!
花を吹き散らかすように、キャサリーンは走った。
そんなキャサリーンを急かすかのように、チェコは頭上にアースを浮かべる。
何とか湖岸にキャサリーンが辿り着くと、チェコはすぐさま、スペル、浮遊を使った。
三人が浮き上がると、そのままチェコたちは湖の上を、凄い勢いで走り出した。
水中から伸びる、一本の釣り糸が三人を引っ張っていた。
岬のように突き出たゴロタの森を横切って、水上を、鳥より早く飛んでいく。
ゴロタの森の先には、眩しいほどに白い砂浜が広がっていた。
砂丘の上には、数隻の船が置かれている。
「あらぁ。
人が住んでいるのかしら?」
「キャサリーンねぇちゃん、先祖返りって知ってる?」
「え…
ええ…、まぁ…ちょっと、色々な人の事でしょう?」
「あそこは、そーゆー村なの。
だから、猟師とか、一部の人たちとしか交流しないんだって。
しらないで近づいたら、殺されちゃうよ」
美しい砂浜の奥の木立の影から、何かの視線を感じるような気が、キャサリーンにはした。
虹カマスに引かれて、チェコたちは白い砂浜をつっきり、柱状の石が湖面から無数に突き出した岩石地帯を抜けて、やがて川に向かって進んでいった。




