切り札
「召喚、森の熊×二、森の狼×六、大トカゲ、
そして草原ウサギ×八、山猿!」
チェコの周りは動物たちで溢れ返った。
プルートゥは、
「ガキの遊びなら…」
話しかけるが、チェコはプルートゥの声を遮り、叫んだ。
「召喚、金神様、
俺は、五のダメージを受ける!」
叫んだチェコは、そのままゴブッ、と腹を抱えて倒れかかるが、その姿勢のまま叫んでいた。
「全ての召喚獣をタップ。
プルートゥに三十のダメージ!」
プルートゥが、弾け跳んだ。
通常のデュエルは、最大十のダメージまでを受けるが、別に本当に傷つく訳ではない。
デュエルで死人が出たのは、だいぶ過去の話なのだ。
ただ、目安としては、十のダメージとは、剣での決闘で太ももを刃で貫かれた時ほどのダメージだと言われていた。
三十がどれ程かはチェコには判らなかったが、
「多産の女王、出産、
森のリス×三召喚、
ハンザキ三号、四号召喚、そしてハンザキの仔、召喚」
倒れたプルートゥだが、ムクリと起き上がっていた。
「糞ガキめ、
そんなもの、獣を殺しゃあ、いいんだろうが!」
と、ダークミスリルの剣を振り上げた。
「バブル!」
プルートゥは、巨大な泡に包まれ、プカリと浮いた。
「召喚獣、アンタップと同時に、金神様、俺にダメージ五を与え!」
チェコは血反吐を吐き、片膝を地面に付けた。
「プルートゥに三八のダメージ!」
泡の中で、プルートゥは身をよじり、泡が血に染まった。
チェコは叫ぶ。
「ダメージ転移!
十のダメージをプルートゥに!」
プルートゥは泡の中でのたうち回った。
が、血まみれになりながらも、プルートゥは、既に回復し始めている。
「召喚!」
チェコは叫んだ。
「冥獣アドリヌス!」
これが、この戦いの、チェコの秘密兵器だった。
だが、ネルロぷァの上で、ヒヨウは跳び上がっていた。
「チェコ!
それを使うんじゃない!」




