戦う
「…チェコ…。
プルートゥが近づいてくる…。
ビビるな…」
パトスは、ひらり、とチェコの服から地上に降りて、低く唸りながら言った。
チェコは、両手で剣を構えた。
(ちぇこ…。
僕の力、ちぇこニアゲル。
戦エ…)
りぃんが心の中で呟いた。
チェコは唾を飲んだ。
剣の腕ではプルートゥに敵いっこない。
なんとかスペルを中心に攻めて、ゴロタの回復までプルートゥを引き留めなければならないのだが…。
チェコの作戦は、既に瓦解していた。
プルートゥの傷が、スペルの力ではなく回復するのなら、いくらアースを奪っても同じ事だった。
チェコが張ったウサギの巣穴の近くまで、プルートゥは歩いて来ていた。
草原ウサギ三匹が、立ち上がって警戒するが、巨大な魔人の前の小動物は、風除けにすらなりそうもない。
「多産の女王、出産!」
ぼとり、と多産の女王は、二匹のウサギを産み落とした。
「ハンザキ一号、ニ号、プルートゥを迎え撃て!」
ゴロタ相手に、素手で立ち回ったプルートゥが相手では、チェコのデッキの切り札であるハンザキも、障害物にしかならない。
あとチェコが持っている力の強い召喚獣と言えば…。
呪われた石像か、それとも…。
ん、とチェコは考えた。
もしかしたら…、あれならば…。
チェコは考えを決めた。
「ウサギのチャンプ召喚!
そして、ウサギの鎧、
ウサギの鉄爪、
ウサギの兜、
装着、ウサギのチャンプ、パワー八、タフネス十!」
ウサギのチャンプは、ハンザキにも劣らないパワー召喚獣になった。
チェコは、ちら、と背後を見た。
ゴロタは、繭のように、白い糸に包まれていた。




