突入
まずい…。
間違いなくプルートゥは、ミカさんを使うだろう…。
ミカさんを助けなきゃ…。
チェコは思うが、あのプルートゥからミカを解放するには、ゴロタに勝ってもらう以外、なんの方法も思いつかない。
なにしろ、岩に叩きつけられ背骨が折れても回復してしまう、まさに魔人なのだ。
だが、ミカは鎧骸骨でチェコたちが絶体絶命の時、ちさちゃんを残して助けてくれた。
一人で渓谷を登り、カード三枚しか持たなかったチェコにも、ミカは惜しげもなく自分のカードでデッキを組ませてくれたのだ。
今度は俺がミカさんを救う番だ…!
チェコは、ギラつく頭で考えていた。
だが…。
あの化け物をどうやって倒せばいいのだろうか?
なんとかゴロタに接近させて、バリアーと衝突させるのか?
しかしプルートゥは、なにしろ死なないのだ。
もう一度、奴の体をボロボロにして、今度はスペル無効で再生を防ぐのか…。
いや、それでも…。
チェコは唇を噛んだ。
奴の持っている七八のアースの前では、一枚二枚のスペル無効など蚊が刺す程の意味も無い。
チェコのアースが切れた後で、プルートゥは好きなだけ回復スペルを使えば良いだけだ。
やはりゴロタに…。
チェコが逡巡している間に、プルートゥは大剣を再び赤く光らせると…。
やおら、ゴロタに向かって、突進し出した。
「あいつ馬鹿か?
あのバリアーを忘れたのか!」
タフタは叫んだが、チェコにはプルートゥが無策で飛び込むような奴では無い事は判り切っていた。
あの剣でバリアーを切り裂くのか…?
ゴロタのプラズム体が、白く輝く。
バリアーが広がっていった。
プルートゥは、一直線に、突っ込んでいった。




