ハニーバア
一方、プルートゥたちもミツバチの茂みに足を踏み入れていた。
「ター君?
なに、シューシューしてるの?」
ミカの問いに、タッカーは、エヘン、と胸を張り。
「僕はコクライノのダウンタウンボーイだからね。
匂いにも敏感なんだ。
ちょっと体が焦げ臭くなったから、このミントスプレーで、いい香りに整えているんだ」
ミカは、クンクンとタッカーをにおい、
「ちょっと強すぎない?」
「しばらくすると、落ち着いてくるんだよ」
ふふん、とタッカーは余裕の笑みを浮かべた。
和やかに話す二人に、プルートゥが注意を促す。
「おいおい、ボーイズ&ガールズ。
向こうから熊が来るから気を付けな…」
キャサリーンは、ふと後ろを振り返った。
「今、何か悲鳴みたいな声が聞こえなかったかしらぁ?」
「ああ。
あれはウサギの鳴き声なんだ」
チェコが、にこやかに解説する。
「ええっ、ウサギって泣かないわよぅ」
「普通、草食動物は音を立てると敵に気付かれてしまうから鳴かないけど。
ウサギは鳴けないわけじゃないんだよ。
大鷲に捕まったりすると、あーいう声で、悲鳴を上げて仲間に知らせるんだ。
ちなみに、犬が鳴くのは、群れで行動するから意思を疎通させるためだよ。
だから、鳴くって言うけど、犬にしてみたら会話なんだよ」
「えーそうなのぅ」
と、キャサリーンは驚く。
「さすがウサギ博士ねぇ」
「チェコは、ウサギの事なら、何でも知ってる…」
チェコは、ニャハハ、と笑い、それほどでもあるよ…、と照れていたが…。
言っている内に、ミツバチの茂みの先に、一面に花が咲き乱れた野原が見えてきた。




