スペルランカー
敵が人型なので、プルートゥの剣技の凄さが如実に判る。
倍の身長を持つ死霊を相手に、もはや小兵と言って良いプルートゥは、目の覚めるような技の冴えを見せていた。
左右から迫る死霊の一方に飛びかかり、相手の剣ごと頭を割ると、背後を襲ったもう一体の槍を、回転しながら背中に交わし、剣はまるで鞭のように敵の首を跳ね飛ばしていた。
まるで演武のようだが、死霊が踊りを舞う謂れもない。
プルートゥの手の上で、踊らされているのだ。
チェコたちはせっせと階段を登ったが、上空を見上げるごとに死霊の数は減っていった。
「セオリーとしては、ああいう奴には矢を射かけ、弱らせないとダメかな。
乱戦に持ち込まれ、只々数を減らす、とは下策かな」
「だが、あの突進力だ。
弓兵なんざ、すぐ潰されちまうぜ」
ウェンウェイの評にタフタがケチをつけた。
「そこは盾を持った長槍兵が、弓を守り、残り三方から弓を打つのかな。
単純だが、これが一番かな」
「まぁ、二次元ならねぇ…」
と、キャサリーン。
「二次元?」
チェコが聞くと、
「地面に貼り付いた戦闘は、ようは将棋の駒のようなものよ。
ウェンウェイさんの言う通り。
でも空中は三次元。
その分、隙間があるから、どうしても一人の敵は逃げられちゃうのよねぇ」
そう言えばプルートゥは空中の移動も名人だった。
「奴よりでかくなっちまったのが災いしたか…」
タフタは嘆いた。
「だけど十字砲火は十分に意味があるハズかな」
ウェンウェイは食い下がる。
だが、よく見るとプルートゥは、上下左右に素早く動いて、大人しく遠距離攻撃をされるつもりはなさそうだ。
「損耗する前に引いて、間に入られないようにする工夫が必要かな」
プルートゥもいくさ上手なら、ゴロタ側は指揮官の不在、が問題のようだ。




