チョコレート
チェコたちは互いに食物を交換しあい、ゆっくり目に階段を登っていった。
プルートゥは、もう数分間も、巨大になった死霊と向き合って止まっていた。
「動かないねぇ…」
チェコは、キャサリーンに貰ったチョコを齧りながら呟いた。
チョコはナッツが入っていて、物凄く旨い。
「これって、もしやケヒャーヌのチョコ?」
タッカーが聞くとニコニコと、
「そうよ。
五粒で千リンもする高級品なのよ」
「おいおい、そう言ってくれりゃあボウズに持って帰ったのに、喰っちまったよ」
タフタは嘆いた。
「タフタさんの子供なら、きっと鹿肉のハムの方が喜ぶんじゃない?」
チェコは期待を込めて言った。
チェコの背負っているリュックの中には、ウェンウェイの巨大な骨付き肉のハムが入ったいるのだ。
「あれは、ここではちょっと食べられないかな。
長ナイフが無いと…」
ウェンウェイが言うと、タフタは背負っていた大きな斧を見せて、ニィ、と笑った。
「わ、プルートゥみたい!」
チェコはゲラゲラ笑う。
あっ、とタッカーが叫んだ。
タッカーの体の具合が悪くなったのか、と皆、タッカーを振り返るが、タッカーの視線は上空を見上げていた。
視線を追って見上げた先では、プルートゥの持っていた剣が、赤く光り始めていた。
「そ、そうだ…!
手に持った剣なら、魔法をエンチャント出来るんだ…」
タッカーは、掠れた声で呟いた。
「あの手、この手と、さすがに傭兵はしぶといな…」
タフタも唸る。
「ああ」
ヒヨウも頷き、
「とにかく上まで行くんだ。
長引くほど、我々は危険が増すんだからな」




