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スペルランカー  作者: 六青ゆーせー
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エルフタッチ

一本、剣を出しただけだったが、プルートゥは圧倒的に強くなった。


今までは死霊たちを避けながら戦っていたが、剣を持ったプルートゥは、自ら山津波のように凄い勢いで死霊たちを押し潰して前進していく。

その一筋の直線が、チェコの目にも、はっきりと見えていた。


「強っ、でも、何で今まで使わなかったんだろう?」


チェコでなくとも首を傾げる行動だ。


「状況を見てたのかもな。

死んで、生き返るのか、とか、どのくらい増えるのか、とか?」


「奴ほどの戦士は、この場にはいないかな。

何か目論見があったんだろうが、俺たちじゃ、判らないかな」


「いずれにせよ消耗戦な事に変わりはない。

力尽きるのは時間の問題だ」


ヒヨウは冷たく言ったが。


プルートゥの除去能力は凄まじかった。

数分の間に、空は一幕、布がとれたように明るくなった。


「ぬぅ、今更ながらムチャクチャな奴だな」


タフタは呆れた。


「仕方がない。

もう少しタッカーを休ませてやりたかったが、そうもいかないようだ」


ヒヨウは立ち上がる。

タッカも、よろよろ起きようとするが、ヒヨウが制した。


「エルフタッチで、回復を早める」


タッカーは

青ざめた。


「あ…、あれか…。

あれって、初めはかなり痛いんだよね…」


「残念ながらタッカー。

今度は優しくやってはいられない。

今すぐにでも百メートル登りたいのだからな。

とても痛いが我慢しろ」


言うとヒヨウは、タッカーの足を両手で掴み、親指をグイっと突き刺した。


タッカーの悲鳴と死霊たちの悲鳴がシンクロした。


「あらぁ、

エルフタッチって、もっと棒とか使うんじゃなかった?」


と、のんびりキャサリーンが言う。

ヒヨウは、自分の鞄を開けると、小型ナイフほどの棒を取り出した。


「塩杉の枝か。

これは少し魔法に近いんだが、一つ、試してみるか」


心なしか、ニィと笑っている気がする。


「よ…、余計な事を…」


タッカーは涙ぐみながらキャサリーンを睨むが、ヒヨウはタッカーに覆い被さり、塩杉の棒をタッカーの袋はぎに突き立てた。


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