爆破
「じゃあ、あれを身にまとっている限り、プルートゥは本当に不死身って事?」
チェコは驚愕した。
「いえ、いくらドラゴンの皮のマントを着ているからって、普通は石をも溶かすマグマの中で生きていられる訳は無いのよ。
あいつの身には、まだ判らない秘密が隠されているようね」
と、キャサリーンも考え込んだ。
「とにかく急ごう。
この分だと、より激しい戦いになりそうだ!」
ヒヨウは叫んだ。
プラズマ体の、ゴロタの背の二本の蛇は、プルートゥの斬擊の影響は受けないようだ。
プルートゥを追って、左右から襲いかかる。
プルートゥは、ゴロタの尾の側に軽快なステップで逃れていく。
チェコは、ヒヨウに引きずられるように、エルロプァの幹に向かっていく。
ずぅん、
と、腹に響くような振動が、チェコを揺さぶる。
あ、とチェコが振り向くと、プラズマ体の蛇が一匹になっていた。
「ああ!
いったい何が!」
チェコは叫んでいた。
「ちょうど見ちまったぜ…」
タフタが呟く。
「奴ァ、蛇の口ン中に、爆弾を放り込んだんだ」
「バカな。
自身、マグマなんだぞ。
爆破なんて、しょうがない」
ヒヨウは言うが。
「彼は軍人よ。
別にスペルのみが戦う手段ではない。
現実の爆弾も持っていたのよ。
それを、ただプラズマ体の蛇の口に放り込んだ。
火薬は、物理現象上、至って普通に爆発した」
キャサリーンは落ち着いて言った。
ヒヨウは、チ、と舌を鳴らした。
「そうだとしてもプラズマ体を吹き飛ばす程の火薬など存在するのか?」
「七年前、全く静かだったブカッチオ火山が一夜で大噴火して、近隣の町に大きな被害が出たことがあったわ。
その時、アムスの町の刑務所から脱走した軍人が一人いたと言う。
巨大な顎の男、って話だったけど、今までは、まさか、と思っていたけど…」
全員が沈黙した。




