ドラゴン殺し
爆発したゴロタの黒焦げの頭から、マントで身を隠したプルートゥが現れた。
自身もあちこち黒焦げだったが、みるみるうちに治っていく。
だが…。
プルートゥの背後のごロタもまた、炸裂した巨大な頭が、何か煙に包まれているように見える。
目を凝らすと、どうも細い糸状のものが、空中を高速で動き回り、ゴロタの頭を修復している様子だった。
一瞬、激しかった戦いが、止まったかに見えたが。
プルートゥは、どうも、ゆっくり体を治し過ぎていたらしい。
ゴロタの背に伸びた二匹の緋色の蛇の一匹が、背後からプルートゥに素早く噛みついた。
プルートゥは、再び爆発した。
「ああっ!」
チェコは叫ぶ。
が、チェコを吊るしたヒヨウは、
「あの蛇はプラズム体という。
あれは、自身燃えるマグマなのだ。
ちゃちなスペルなど効かない」
確かに、一瞬は燃え上がったものの、哀れなプルートゥの二本の足が、ブラン、ブランとプラズム体の口でバラバラな角度に揺れていた。
「思ったより早く決着したようだな」
タフタも言った。
「ねぇ、それなら、さ…」
タッカーは己の希望で、顔色が輝いていく。
が…。
プラズム体の蛇の頭が、べり、と裂けた。
そこから、黒いマントに包まれたプルートゥが現れ、皆は言葉を失った。
「いったい、あのマントは何だよ…」
タフタも呆然と呟いた。
「たぶん火炎谷のドラゴンの皮でしょうね。
十数年前、一匹、長老クラスのドラゴンが殺され、頭を持ち去られた。
ドラゴンは皆、ドラゴンを殺した者の匂いを永遠に覚えているのだから、馬鹿な奴もいたものだ、ぐらいにしか思わなかったのだけど…。
ドラゴンの頭の皮は、一番熱に強い所よ。
まさか、あいつが犯人とは思わなかったわ」
キャサリーンは、いつになく冷静に告げた。




