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地雷虫
ミツバチの茂みとは、低木の茂みであるらしい。
あるらしいのだが…。
黒龍山の低木は、十メートル以上も高々と茂っていて、ほとんど森と何ら変わらなかった。
「さぁ、猟師小屋は、虹カマスの湖の先の蛇女の淵を登った先、動物森の奥にある窪地だから、今日はそこまで進むよー!」
元気に叫び、チェコは草を叩きまくる。
キャサリーンも、ゼイヒー言いながら、ラストスパートで雑草を叩いていたが。
「…気が付いたわ!」
息を荒げながら、キャサリーンは言った。
「なに、キャサリーンねぇちゃん?」
「さっさと浮遊のスペルを使って、空中を飛べばよかったのよ!」
「ダメダメ!」
チェコは笑った。
「ここでアースなんて使ったりしたら、魔力を吸う虫を引き寄せて、大変なことになるんだよ」
背後の草むらが、突然、爆発した。
「あれぇ、地雷虫が爆発したのかなぁ…、そんな素人、この山に居ないと思うんだけどなぁ…」
チェコは、背後を振り返るが、パトスが急き立てた。
「チェコ、お昼までには虹カマスの湖の出ないと、時間が…ない…」
ああ、と慌てて、チェコは草むらを叩き直した。




