表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スペルランカー  作者: 六青ゆーせー
32/688

黒ナマリ蛇

「いいわ…」


キャサリーンは、さっと、長い、ウエーブのかかった赤い髪を指で掻き上げ、草を飛ばして立ち上がった。


「ともかく、行くわ!」


歩き出そうとするのを、チェコが遮り、木の枝で草を叩いた。


ジャ…、と小石を転がしたような音とともに、黒い蛇が飛び出してきた。


パトスが器用に、前足で蛇の首を押えると、噛み切った。


「ほら、これが黒ナマリ蛇。

こいつがいっぱいいるんだ。


毒蛇だよ。

まぁ、死にはしないけど、凄く腫れて痛いよ」


チェコは首の切れた蛇を拾い上げた。

蛇はまだ動いていて、チェコの手首に巻き付く。


「そ…、それ、どうするのよ…」


「これは後で腹を裂いて、リュックからぶら下げておくんだ。

二、三日したら食べられるよ」


キャサリーンは、広い草原を見渡した。


チェコの言っていた丘と言うのは、はるか先で、しかも、そこは迂回して、その、もっと先に進むのだという。


「近道とか、無いのかしら?」


「近道は危険なんだ。

ゴロタの森には、ゴロタがいる」


「ゴロタってなに?」


「ゴロタは、途轍もない大きさの熊だよ。

普通の熊の三倍あるの。


それで、十倍速くて、二十倍強いんだ。

この黒龍山、最強生物」


「こ…、こんな麓に住んでいるの?」


「山奥より、下の方が広いし、餌も豊富だし、最強のゴロタは誰でも避けるから、近づかない。

だから、一番いい場所に居るんだよ」


さぁ、早く行こう、とチェコは急かした。


「日があるうちに猟師小屋に着かないと、夜の山には、山女や黒ヌリや山人や、片牙や鎧骸骨が出るんだよ」


また名詞の羅列だ…。


「な…、なに…それは?」


チェコは枝を振るように促す。


キャサリーンは、バサッと草を叩いた。

すると、何かがガサガサ、と慌てて逃げて行った。


悲鳴を上げるキャサリーンにチェコは、


「何でもないよ。

ここら辺は、蛇を食べるイタチも多いんだ」


チェコも草を叩いて歩き出す。


「夜の森は、危ないから動けない。

でも人間の匂いを辿って、怖いオバケがやってくるのさ」


さっき、ずらずらと語っていたのは、オバケの名前であるらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ