入山
草原を突っ切ると、夜明けから一時間ほどで、黒々と木の茂る森林地帯に突き当たる。
「この先が黒龍山なんだ」
チェコが説明した。
「村の道は、畑や田んぼを通るから回り道になるんだ。
まぁ、草原には、さっきみたいに岩石もどきもいるし、奥に行けばトカゲ人間の部落もあるから危険なんだけどね」
木々の間を縫うように進むと、薄暗い平地に出る。
「馬車でいけるのはここまでだから、皆、馬車を停めているんだ」
十台ほどの馬車が停まっていた。
「ここからハジュクに行く人も、けっこういるのね」
キャサリーンが言うと、チェコは、まさか、と笑った。
「ここの馬車は樵さんや猟師さん、後は近所の農家ぐらいだよ。
ここから四里の吊り橋を渡って、赤竜山を下る、なんて人は一年に何組か噂になるだけだよ」
「道…、危険…、俺たちだけじゃ…、不可能」
「パトスの言う通りだよ。
山に詳しい猟師の人を道案内に雇わないと、黒龍山の途中で遭難しちゃうよ。
上は、ちゃんとした道も無いんだから」
「じゃあ、猟師はどこにいるの?」
「山の中腹の山小屋だよ。
黒龍山にはいくつか山小屋があって、猟師は、そこに宿泊して獲物を集めてから下山するんだ。
俺たちが案内できるのは、一番麓の山小屋ぐらいまでだねぇ…」
キャサリーンは溜息をつき、
「そこまで、とにかく、進みましょう」
三人は、山に足を踏み入れた。




