金神様
「えー、金神様って、あれでしょ?
エンチャントでも召喚獣でもない、「神」のカードで、戦闘に参加出来ないけどプレイヤーのダメージと引き換えに、ある種の現象を起こす、っていう。
しかも金神様ときたら五ダメージを受ける代わりに、タップした召喚獣分のダメージを任意の相手に与える、っていう。
割りに合わないわよ、そんなカード」
チェコはしかし、異様な情熱でカードを見つめながら、
「でも、俺のデッキには相性が良いと思うんだ。
エルミターレの岩石、多産の女王、ウサギの巣穴、キーカードが多いデッキだから、きっと狙われる。
ても、神カードがあれば、戦闘には不干渉だから、相手も始末に困る。
ダメージは回復すればいいんだし、俺、ダメージ転移のスペルも持ってるし…」
あら、とキャサリーンはチェコのデッキを覗き込む。
「ずいぶんイメチェンしたのねぇ、半分黒のカードじゃない。
そうねぇ、
ダメージ転移があるなら、金神様も使いやすいわねぇ…」
ウンウンと頷き、
「確か、神カードもコレクションしていて、一枚だけなら持っていたと思うけど…」
するとチェコは、キャサリーンに頭を下げた。
「すいません、今すぐお金は払えないけど、きっと買うので、先にカード、くれませんか?」
今までにないチェコの様子にキャサリーンは笑い。
「良いわよぅ。
どうせ金神様なんて、使えないカードベスト一、みたいな奴だもの。
ショップに行けばタダ同然で手に入るわ」
キャサリーンは、巨大なリュックを広げた。
「あと、もし、あったら補食と月齢、とかもある?」
「あー、チェコ君って、人の使わないカード使うの好きよねぇ。
たぶん一、二枚はあったバスよ」
「あと、出来れば、大いなる幻想、も…」
「あー、全てを破壊する系が来たときに、別空間に逃げ出すスペルね。
でも、そんなの普通、スペル無効で回避するんじゃないの?」
「無効には、したくないんだよ…」
チェコの目は、焚き火のためか、ひどくギラついていた。




