表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スペルランカー  作者: 六青ゆーせー
285/688

頂き

空は不気味に、唸っていた。


チェコたちは急斜面を必死に歩いているが、どっ、とチェコの体も浮くほどの風が、急ぐ足を阻んでいた。


雲の唸りと、風の金切り声の、ふとした隙間に、キキキキキ…、と、悲しそうな声が耳に入ってくる。


傾斜の中腹にあるという鬼の岩屋は、まだ見えなかった。

と、いうより周囲は、およそ光が全く無くなりつつあった。


山の頂き付近には、まだ星があるものの、チェコの頭上は既に黒雲だ。


「道が見えねぇ。

仕方ねぇからランタンを灯すぞ!」


タフタは言い、リュックを下ろす。


強風のため、なかなか火が点かない。

チェコたちは、タフタの周りに集まって、風避けになった。

火打石を諦め、着火のスペルを使う。


山では、出来るだけスペルを使わない方が良いのだが、とタフタは呟く。


「霊鬼が集まるから?」


チェコが問うと、タフタは、


「それもそうだが、スペル自体が、山ん中では普通に作用しなくなる。

山は、それ自体が一種の魔法なのさ。

だから、こんな小っちゃなスペル一つでも、高山では、どんな別のものを生んじまうか判らないんだ。

ま、それでも命には変えられねぇ」


ランタンが灯ると、再び四人は歩き出した。


「雨が降らないといいかな…」


ウェンウェイが呟く。


「うん、俺、雨具とか持ってないから…」


チェコが言うが、


「それもあるが、この先は、もう岩しかない場所かな。

こんな所では、雨はみな、滝のように流れてくるかな。

高山の雨は、平地とは全く別物かな」


へぇ…、と、チェコは山の頂上を見上げた。


えっ!


チェコは叫ぶ。


頂から、人影が、チェコたちを見下ろしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ