群れ
「うわぁ、あれ、ドゥーガだねぇ」
チェコも空を見上げた。
「何、ドゥーガって?」
とキャサリーンは気軽に聞いた。
「あ、キャサリーンねぇちゃんは、夜の山は初めてだから知らないのか?
上空から急降下して襲って来るんだ。
凄く速いから、襲われたら二つ頭で逃げるんだよ」
タフタはチェコを見、
まぁ、本人が望もうと望むまいと、この子供の運命の歯車は、もう回り始めているようだな…。
と、諦観した。
「ドゥーガは普通、こんな草木も生えないような高山には来ねぇ。
なんせ、奴らが餌にするような大型の獣は、全然いねぇんだからな。
しかも、何であんなに群れてやがるんだ?」
「あ、下の山で、何かがドゥーガの巣を襲ってたんだよ!
それで山の生き物が皆逃げ出すような騒ぎになっちゃて、俺たちは、走って山を登ったんだ。
あれはキツかったなぁ。
ね、ちさちゃん」
「、、そぅ、、たぶん魔物では無いと思う、、沢山のドゥーガと何か獣の群れが、群れ同士で、、争っていたの、、」
「群れで争う、って、おい、まさかゴロタじゃないだろうな。
片牙どころの騒ぎじゃ無いぜ!」
タフタの問いに、
「、、違うと思う、、ゴロタは、、半分魔物のようなもの、、多分ゴロタなら判ると思う、、」
ぬぅ…、と考え込むタフタに、チェコは、
「そう言えば山津波の後で、黒豹の群れを見たよ」
「馬鹿な。
猪や鹿じゃあるまいし、豹が群れる訳、無いだろう」
「えー、確かに見たよね、ちさちゃん?」
「ええ、、普通じゃない雰囲気だったわ」
タフタは、眉をひそめた。
何だ…。
何が、起こってやがるんだ…?




