冥界
チェコは考え込んでしまう。
俺は、友達のように山を思っているんだろうか?
「チェコはバカ…。
考えたって答えは出ない…。
これから…気をつけろ…」
パトスが、ふん、と鼻を鳴らしながら言った。
「あ、これからは気をつければいいのか!」
チェコは顔を輝かせたが…。
「だが、片牙はシャレにならんぞ。
このまま、それを連れて赤竜山に渡ったら、まず間違いなく片牙を呼んでしまう。
いくら女王様の願いだって、俺も片牙に会うのなんてゴメンだ。
俺んだって村も家族もあるんだからな」
「え、
りぃんは片牙じゃなくて、お兄さんを待ってるだけだよ。
すぐに冥界にも入れる、って…」
「それかな…」
とウェンウェイは言った。
「この俺の足、
この感じを見るに、この、りぃん、ただの霊魂では、既に無いかもしれないかな。
この子は、力をつけてしまっているかな。
もちろん善良な魂なのは、体に入れている俺が一番判るが、確かに片牙を呼ばない、とは言い切れないかな」
えー、とチェコは叫ぶ。
「悪いヌチじゃないんだから、悪いヌチは呼ばないはずじゃないの、ねぇ、ちさちゃん?」
ちさは考え込む。
「ここでは、、そう、、。
ただ、、りぃんは確かに、、長く山に居すぎて、強い力をつけてしまっている。
その力自体は、、片牙が目をつけても、、おかしくないわ、、」
「えー、そんなぁ…」
チェコは、情けない声を出すが。
「チェコ君。
皆も、まだ赤竜山は先なのよ。
今、ガタガタ言っても仕方ないでしょう。
それについては、イヌワシ峠の鬼の岩屋で、もう一度考えましょう。
たぶん、良い方法はあると思うの」
明日はお休みします。
多分、日曜日から再開しますので、よろしくお願いいたします。




