質問
チェコは叫んだ。
「多産の女王、タップ!」
エクメルが、その声に割り込む。
「チェコよ。
実戦では、タップは出来ないのである」
「ええっ!
それじゃあ、俺のデッキの根底が崩れちゃうじゃないか!」
「タップ、ではなく、目的に合わせた行動を指示すればよいのである。
防御なのか、出産なのか、ハッキリした指示を出すのだ」
チェコは慌てて、
「出産、出産!
多産の女王、出産だよ!」
多産の女王が、蹲り、ぽとり、と2匹のウサギを産み落とした。
だが、相変わらずブーフは語り続けた。
「僕の命で、弟を救う…。
だが、そうすると、僕は、このもくじんさま…、への代価になる。
「代価になったら…、どう…、なるの」
もくじんさまは、含むように笑った。
「さぁねぇ、それはお前次第だ。
私に、より大きな力を捧げる手助けになるのであれば、私はお前と手を組むかもしれない。
子供よ…。
どうするのか、夜の開けぬ間に決めるのだ。
もし、この森に朝日が差すまで答えがなくば、その時は、お前と弟の死体が、麓の森で見つかる事になるだろう…」
僕は、息を飲んだ。
二人とも死ぬか、それとも弟が助かるのか…、それで無ければ自分が助かるのか、三つに一つ。
だが、二人とも死ぬという決断は無い。
どちらか、一人は助かるのならば、そうすべきだ…。
僕は聞いた。
「もし、助かったら、弟はどうなるの?
元通りになるの、
あの、変な唇は…?」
ハハハ、ともくじんさまは笑った。




