魔法陣
「チェコ、すぐ背後に陰狼とブーフが来ているのである。
今、召喚しても、敵に挟まれるだけ、なのである!」
エクメルは忠告する。
「いや、でもハンザキなら、あんな骸骨ぐらい吹き飛ばせるから、ウェンウェイさんと合流できるよ!」
チェコなりに、計算はしている。
「実戦は、デュエルのようにはいかないのである。
一匹でも取りこぼせば、腹中に敵を抱えることになるのである」
「でも、それなら今だって同じじゃないか!」
叫びながら、チェコは強引にハンザキを召喚した。
と、同時に、ブーフと陰狼は、チェコの背後に迫ってきた。
「待っていたかな!」
ウェンウェイさんは叫ぶと、橇、をスペル召喚した。
日用品を、スペルカードに収める事は出来る。
ただ、コストが割高になるので、あまりしない。
馬車なら、街で中古を安く買う事も出来るが、スペルカードに入る馬車は、皆、新品だし、カード化する費用も嵩むので倍近い値になるのだ。
ウェンウェイは、転がるようにして橇に乗ると、何と三匹の黒猫が橇を引いて、魔法陣から離れた。
磔刑の魔女が睨みを利かせているので、骸骨は動けないようだ。
チェコは、空中からウェンウェイさんと合流する。
ハンザキが、磔刑の魔女と睨みあっていた骸骨を、背後から襲うと、磔刑の魔女も攻撃を始めた。
だが、闇の奥から獰猛な雄叫びが轟く。
ハンザキは、背後から陰狼に、片手で握り潰された。
「ガハハ!
バーカめ、もう逃げられないからな!」
ブーフは、勝ち誇って叫んだ。




