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無謀
この一帯を離れれば、おそらく粘菌は、追って来れない。
チェコは、急いで加速するが…。
突然、目の前に、三体の飛骸骨が現れた。
「馬鹿め!
逃がすものか!」
背後でブーフが叫んでいる。
「ちぃ…、
雷で焼けるからな、飛骸骨なら!」
チェコは唸る。
「三匹を相手に、このまま突っ込むのは無謀なのである!」
「でも、まごまごしてたら、粘菌や陰狼に追い付かれちゃうんだ!」
チェコは叫んだ。
エクメルの危惧したように、飛骸骨は上に二体、下に一体に広がり、三方からチェコを挟もうと目論む。
「、、チェコ、、どうするの?、、」
ちさの声に、チェコは自分の髪をナイフでブチブチと切った。
髪を切る度に、チェコは加速していく。
「突っ込むよ!」
「チェコ、危険である!」
チェコは、叫んだ。
「危険は、承知の上!」
飛骸骨に囲まれた、と思った瞬間。
チェコは、最後の髪をブチ切り、三体の真下に落ちていた。
「雷、三連発!」
三匹が、ちょうど一直線で重なる、飛骸骨の真下のタイミングで、チェコは三発の雷を同時に発射した。
雷は、奇跡的に、三体の飛骸骨に命中した。
「よし!」
チェコは、落下しながら叫んでいた。




