突撃
「あー、しまった!
ちさちゃんを危険な目に合わせたくないし…。
エクメル、今度は力を合わせて、ガルムを倒すよ!」
チェコは巧みに反転し、負債の天使に突っ込んで行った。
ガルムは、チェコの二度の反撃に用心深くなっているのか、距離をとって逃げてゆく。
「チェコ、奴は狡猾である。
何かを狙っているのである」
しかし…、とチェコは考えた。
ちさちゃんはチェコのために、ウェンウェイさんに会って来てくれたのだ。
今、ちさちゃんは安全な距離にいる。
合流して危険にさらすより、短期決戦で勝利して、合流はそれからにしたい…。
チェコは、髪の毛の束を一本に絞った。
多くの髪の毛を、方々に伸ばした方が細かく動けるが、一本ならば最大の加速で負債の天使に接近できる。
風の唸りを耳に感じながら、ガルムの背中に辿り着いたチェコだが…。
負債の天使ガルムは、ゆっくりと逃げ続けている。
ここで一気に!
と思った瞬間、後ろ向きだったはずのガルムの背から、ガルムの腕が飛び出してきた。
「ギャハハ!
馬鹿め、僕が幻を見せたんだよ!」
ガルムの背後に、いつの間にか、ブースが浮いていた。
どうやって、か、バブルを抜け出したらしい。
髪の毛は一本だ。
避ける術は、もう無かった。
「雷!」
「暗黒波!」
チェコとエクメルは、必死の攻撃を放った。




